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アルコール依存症

アルコール依存症は、精神病のひとつです。アルコール依存症は普遍的な病気ですが、誤解の多い病気でもあります。アル中(慢性アルコール中毒)と同義ではありません。アル中は社会的、道徳的、倫理的なラベリング(レッテル貼りの言葉)であり、医学用語からは排除されています。

アルコール依存症の原因
アルコール依存症の原因は多量飲酒です。しかし、多量飲酒者がすべてアルコール依存症になるわけではありません。当初は同じように飲んでいても、ある人はアルコール依存症になり、ある人はなりません。この違いはどこからくるのでしょうか。

双生児による遺伝研究などから、アルコール依存症の原因の50~60%は遺伝要因、残りが環境要因によると推定されています。同じように飲酒していても、これらの要因をもつ場合にはアルコール依存症になりやすいわけです。

アルコール依存症の症状
1.渇望と飲酒行動
本来、飲酒してはならないような状況でも感じることがあるような強い飲酒欲求を「飲酒渇望」と呼びます。アルコール依存症の患者さんは、この強い渇望にさいなまれます。

2.退薬症状
飲酒の反復のあと、飲酒中断や飲酒間隔の延長、飲酒量の減少で現れる症状です。

不眠・悪夢・血圧上昇・頻脈・動悸・吐き気・嘔吐・頭痛・胃痛・発汗・寝汗などの自律神経症状、手指振戦・筋肉の硬直やけいれん発作などの神経症状、幻視・幻聴・振戦せん妄などの精神症状が現れます。

3.離脱症状
離脱症状は、古くは禁断症状と呼ばれ、中枢神経がアルコールに依存している証拠とされています。通常、血中アルコールの濃度がゼロになる前から症状が現れます。

アルコール依存症の治療
●抗酒剤
シアナマイドとジサルフィラムの2つが用いられますが、飲酒渇望を抑制する効果はありません。両剤はアルコール中間代謝産物のアセトアルデヒドの代謝酵素を阻害して、飲酒時の血中アセトアルデヒド濃度を上昇させ、飲めない体質の人と同じ生体反応を起こすことでアルコールを遠ざけるようにする薬剤です。

●解毒治療
入院した患者さんに対して、まず精神・身体合併症と離脱症状の治療を行います。精神・身体合併症については対症的に治療します。 離脱症状治療の原則は、まず交差耐性のあるベンゾジアゼピン系薬物でアルコールの肩代わりをさせ、漸減することです。この処置を行わずに、点滴などでアルコールの排泄を促進すると、離脱症状を悪化させることがあります。 解毒治療は通常2~4週間行われます。